住宅ローン控除とは、原則的に「10年間」毎年末の住宅ローン残高の最大1%を所得税(一部住民税)から控除する制度です。2019年の消費税10%増税に伴い、一時的に控除期間が「13年間」に延長する特例が設けられました。

そしてさらに、2021年度の税制改正によって、改めて控除期間が延長する見通しとなっています。

昨今、住宅ローン控除の期間については二転三転を繰り返していますので、「結局、いつ買えば、住宅ローン控除を13年間受けるられるんだろう?」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで本記事では、住宅ローン控除が延長する適用要件をまとめております。

住宅ローン控除が「13年」に延長する条件

2020年12月現在、住宅ローン控除が13年間に延長するのは以下の要件を満たした場合に限られます。

  • 消費税率10%が適用される住宅を購入
  • 2020(令和2)年末までに居住を開始

11年目から13年目は控除額の算出方法が異なる

一定の要件を満たした場合に限り住宅ローン控除が10年から13年に延長となりますが、11年目から13年目の控除額は10年目までの計算方法と異なるので注意が必要です。

(出典:国土交通省

10年目までの控除額は、「借入残高の1%」「1年間の最大控除額(一般住宅:40万円 長期優良住宅等:50万円 非課税住宅:20万円)」「所得税+住民税額」の3つのうちいずれか最も小さい金額が控除額となります。

一方で、11年目以降は上記3つに「建物の取得価格の2%÷3」を加えた4つのうち、いずれか最も小さい額がその年の控除額です。

(出典:国土交通省

つまり、11年目以降はそれまでの控除額より下がる可能性もあるということですね。

コロナによる延長措置の緩和条件とは?

2020年12月現在、原則的に住宅ローン控除が「13年」に延長する条件の一つは、上記の通り「2020年末までの入居」。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響により入居時期が遅れた場合には、この入居要件が緩和されます。

1.一定の期日までに契約が行われていること
・注文住宅を新築する場合:2020(令和2)年9月末
・分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2020年(令和2)年11月末
2.新型コロナウイルス感染症の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅または増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと
(引用:国土交通省

こちらの条件を満たしていれば、「2021(令和3)年12月31日まで」に入居すれば住宅ローン控除を13年間受けられます。

2021年税制改正で再延長が決まる見通し

ここまでお伝えしました通り、住宅ローン控除期間が「13年」に延長するには「2020年末までに入居」、あるいは「すでに契約を終えていてコロナによって入居が遅れてしまった場合は2021年末までの入居」という適用要件があります。

つまり、間もなく終了しつつある制度だということです。

しかし、2021年度の税制改正で改めて住宅ローン控除期間を再延長することが検討されています。

2021年度税制改正に盛り込まれると見られる内容

当初、住宅ローン控除の期間延長は、消費税増税に伴う支援策として開始しました。しかし2020年になってからはご存じの通り増税の影響というよりも新型コロナウイルスの感染の拡大による経済への影響が大きくなったといえるでしょう。

不動産市場においても、緊急事態宣言下では流通数が激減しました。この状況に鑑みて、「住宅ローン控除期間の延長を改めて始めよう」というのが2021年度税制改正の意図のようです。

具体的には、「2021(令和3)年9月末までに契約」かつ「2022年(令和4年)12月31日までの入居」が税制改正時の適用要件になる見通しです。

速報
12月10日2021年度税制改正が決定いたしました!

結局、いつまでに買った不動産の制度対象になるの?

2021年度税制改正を受け、以下の期日までに契約し、入居した不動産が住宅ローン控除の延長措置が受けられます。

2021(令和3)年12月31日までに入居
ただし、以下までに契約が完了していることが条件
・注文住宅を新築する場合:2021(令和3)年9月末
・分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2021年(令和3)年11月末

住宅ローン控除の「広さ要件」緩和の可能性も

2021年度の税制改正では、住宅ローン控除の「広さ要件」の緩和についても検討されています。

2021年度税制改正の焦点である住宅ローン減税の見直しをめぐり、減税対象となる物件の面積要件の緩和案が浮上した。政府・与党で議論し、結論が得られれば今年12月にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。現在は戸建て、マンションを問わず床面積50平方メートル以上が要件。これを40平方メートル以上に対象を広げる案を軸に検討する。(引用:日経新聞

現行制度では「床面積50㎡以上」が住宅ローン控除の要件の一つになっていますが、これが「40㎡以上」に緩和される可能性があります。

40㎡~50㎡のお住まいといえば、1LDK~2DKほどのマンションの広さ。単身者の方やご夫婦お二人の世帯のお住まいの選択肢が増えることに期待ですね。

まとめ

住宅ローン控除期間が「13年」に延長する要件についてまとめました。

2021年度の税制改正では、再延長が大筋合意されています。また期間延長のみならず広さ要件も緩和されれば、これまで住宅ローン控除が適用とならなかったお住まいも対象となる可能性があります。

控除制度は住宅購入を後押しする一つの要素にすぎませんが、高額な不動産を少しでもお得に購入するため購入時期も検討されてみると良いと思います。