国土交通省が発表した日本の直近の空き家率は、速報値で13.6%。日本にある住宅のおよそ7軒に1軒は、空き家だということです。

これほどまれに空き家が多いということは、不動産市場は完全に供給過多の状態ですから、売れない・貸せない空き家は今後さらに増加すると考えられます。

また日本の人口数・世帯数は下降に転じており、さらに超高齢化社会によって不動産を購入する層が減少していくことは歴然です。

ただ日本人は減り続けていても、日本に滞在したり訪問したりする外国人の数は年々増加し続けていることをご存知ですか?

今回は実際に外国人顧客を多く抱える不動産エージェントである私が、「空き家×外国人」という新たな需要について詳しく解説します。

空き家は外国人労働者に適した物件

少子高齢化が顕著に表れている日本は、完全に労働者不足に陥っています。それを補う形で政府が最近力を入れているのが、外国人労働者の受け入れです。

コンビニや飲食店、ホテルなどのサービス業の現場で、また介護や看護などの医療の現場で、外国人の方をよく見るようになったと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

政府では、2018年末に出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正が可決されています。

この改正により、外国人労働者の数をこれから5年間かけて35万人ほど増やし、2025年までには総数を50万人以上とするのが政府の方針です。

 

外国人労働者の住まいとして空き家に注目が集まる

労働者としてやってくる外国人には、住むところが必要です。

これから35万人もの外国人を受け入れるために注目されているのが、空き家なのです。

外国人労働者の方の賃金は、あまり高くありません。また日本人のように新築信仰がある国は圧倒的に少ないので、比較的、築古物件にも抵抗がないと考えらえます。

そして外国人労働者が受け入れられるのは、建設業や漁業、農業、サービス業などありとあらゆる業種です。つまり外国人労働者が住まう場所は、都心部とは限らないということです。

この「ニーズ」を満たす住まいこそ、なかなか活用が見出せないでいる空き家

日本国民への需要が期待できない古くて立地条件の悪い空き家でも、外国人労働者からすれば「日本風でいい」「安くて通勤に便利」と思ってもらえる可能性が高いのです。

 

外国人の受け入れはリスクとはならない

外国人による賃貸需要は、これから必ず高まっていきます。しかし次のような理由で、「外国人不可」としている賃貸住宅は多くあります。

  • コミュケーションが取れない
  • 家賃滞納やゴミ出し、マナーの悪さなどのトラブルが多そう

確かに日本語でコミュニケーションが取れないことは、家主にとって大きな不安材料となるでしょう。ただ外国人労働者を受け入れている法人は、企業主体で労働者の住まいを探しているケースが多いものです。その場合、賃貸借契約を交わす相手は日本の法人。賃料も労働者から直接徴収するのではないので、滞納のリスクも少ないといえます。

また外国人の個人の方と契約するとしても、近年では多くの不動産管理会社に英語や中国語が話せるスタッフがいます。不動産業界としても外国人の受け入れを積極的におこなうべきという傾向は強いので、外国人受け入れのサポートは手厚いはずです。もちろん弊社でも、外国人への賃貸物件の貸し出しなどの相談は、積極的にお受けいたしております

ドアキー

外国人向け民泊施設としても空き家は活用できる

外国人労働者への長期貸し出し以外にも、「短期貸し出し」としての空き家の需要にも期待できます。

外国人観光客の増加

日本政府観光局によれば、2000年には約470万人だった訪日外国人の数が、2018年には約2,870万人となっています。とくにここ数年間の増加は著しく、次のように訪日外国人は急増しています。

       (出典:日本政府観光局

2020年の東京オリンピック開催が決定した2013年には、訪日外国人は1,000万人を越え、2015年からは出国邦人数を上回っています。今や京都や大阪、浅草、銀座など、日本のあらゆる観光地に外国人が溢れかえっており、主要観光地では受け皿となる宿泊施設の建設が追い付かないほどです。そこで注目されているのが、民泊施設です。

 

Airbnbなどのサービスにより民泊が身近に

「民泊」とは、ホテルなどの宿泊施設ではなく一般的な民家に宿泊することをいいます。近年は民泊がビジネスとして注目されており、民泊施設の増加に伴って民泊に関する法律が新設されているほどです。

各自治体によって民泊の規定に違いはあるものの、ホテルや民宿より貸出しが手軽であり、かつ民泊仲介サービスの台頭により、今や民泊は、借りる側も貸す側も身近になっています。

民泊仲介サービス大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は世界中で展開しており、日本でも日本人、外国人問わず多くの人が利用しています。

民泊のメリットは、Airbnbがうまく定説してくれているように「空き部屋を世界数百万人に披露し、収入に変える最も簡単な手法」だということ。売却もできない、賃貸することもできない空き家を、立地や条件問わず収益にできる可能性があるのが民泊です。とくに外国人観光客が激増している今、空き家の活用方法の1つとして民泊は大きく注目されています。

空き家バンクは外国人がほぼ見ない媒体

「空き家×外国人」の需要の高まりをわかっていただけたと思いますが、空き家をアピールするための媒体についても考える必要があります。

空き家を売る・貸すといったとき、考えられる相談機関や掲載場所は次の通りです。

  • 空き家バンク
  • Airbnbなどの民泊仲介サービス
  • 不動産業者

民泊仲介サービスについては先ほど説明したので割愛するとして、その他2つの選択肢のメリットやデメリットをみていきましょう。

空き家バンク

「空き家が売れない・貸せない」

というとき、多くの人が思いつくのが空き家バンクではないでしょうか?

空き家バンクをご存知ない方に簡単に説明しますが、空き家バンクとは、各自治体による空き家仲介サイトのことです。空き家バンクは、誰でも簡単にアクセス・閲覧することができます。目的は、空き家を売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人をマッチングさせることです。

掲載料などは無料なので利用しやすいサービスですが、デメリットが2つあります。

1つは、不動産業者と媒介契約できないこと。つまり空き家バンクに掲載するしか、売るため・貸すための方法は取れないということです。

そしてもう1つは、成約率の低さ。空き家バンクは一見すると不動産業者の役割を果たしてくれるようにも映りますが、売却活動などは一切せず掲載するだけに留まります。

つまり言ってしまえば、空き家バンクはネット上の掲示板に物件情報を載せるだけであり、かつ不動産業者に売却や貸し出しを依頼できなくなってしまうツールだということです。

さらに言えば、外国人の方が各自治体の空き家バンクを見ようとはまずしません。日本語がよくわからない外国人は、必ず仲介やサポートをしてくれる不動産業者に物件の相談にいきます。

今後、自治体がシステムの見直しなどを図らない限り、空き家バンクを利用するメリットは少ないと私は思います。

不動産業者

空き家を売りたい・貸したいのなら、不動産業者に相談するのが最も適しています。

日本人でも外国人でも、日本国内の物件を検索するとすればSUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトでしょう。もちろん不動産業者に直接相談に行く人も、多くいらっしゃいます。

不動産業界には業界専門の不動産ポータルサイトのようなものがあり、業者はこのサイトを使って物件検索をおこないます。サイト名は、「レインズ」。聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

空き家に関わらず、不動産を売りたい・貸したいというのならレインズへの掲載は不可欠といっても過言ではありません。

不動産の価格付けの際には相場確認することができ、過去の売買履歴を見ることができるのも業者専門サイトであるレインズならでは。

不動産ポータルサイトに物件情報を掲載するにも、基本的に不動産業者の仲介を経る必要があります。不動業者と媒介契約を結び、物件の写真を撮ってもらって、物件詳細を調査してもらって、やっと不動産ポータルサイトに掲載できるのです。もちろんこの過程にも、レインズを参考にします。

先述通り、空き家バンクに登録すれば不動産業者と媒介契約をすることはできません。レインズと空き家バンクは、比較するまでもなく閲覧数も専門性もレインズが勝ります。

レインズが閲覧できるのは不動産業者のみですが、その向こうには何十万人、何百万人の買いたい人・借りたい人がいるのです。

需要の低い空き家だからこそ、レインズを駆使して売却活動や賃貸活動を展開し、日本人・外国人含めて需要を取り込む必要があります。

 

弊社には空き家を探している多くのお客様がいらっしゃいます

弊社は、複数の不動産エージェントが所属する不動仲介業者。外国人のお客様からの相談が多いことが、弊社の特徴の1つです。

具体的には、次のような場所で戸建ての空き家を探している外国人のお客様を抱えています。

  • 逗子
  • 奥多摩
  • 勝浦
  • 埼玉

都内にあるマンションの空き家はもちろん、外国人のお客様による都心から離れた場所の戸建ての需要の高さも近年とくに感じています。

「こんな所の空き家誰が買うの?」

と思うような場合でも、レインズで多くの方の目に空き家の情報を触れさせることができれば、成約できる可能性はぐっと高まります。また弊社のように外国人顧客を多く抱える業者にご相談いただければ、他社とは違う需要を認識することができるはずです。

そして空き家の魅力の1つは、現金購入できること。今は融資が引き締まっている状態でもあるので、住宅ローンを組まなくても取得することができる空き家は、投資物件としての魅力も高いのです。

外国人が増えることともに、働き方改革やフリーランスの増加、政府による資産運用の警鐘などによっても、地方の不動産の需要は増えることが予想されます。もちろんその需要は「高い」とまではいえないでしょう。しかし需要のあるところに確実に物件を周知させることができれば、地方の不動産の多様な活用法が考えられます。

「売る」「買う」「借りる」だけではなく、これまでになかった不動産活用ができれば、空き家の数も減り、人が集まることで街全体に活気がでるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、「空き家×外国人」という新たな需要についてお話を進めてきました。

弊社は、個々の不動産エージェントが所属するエージェント会社。私自身も外国人のお客様に多く携わってきましたし、外国人専門で活動しているエージェントもおります。

外国人向けの定期的なセミナーをおこなう中でも、近年とくに外国人の空き家に対する需要を強く感じております。今までに「売れなかった」「貸せなかった」「不動産業者に見放された」という空き家をご所有の方は、ぜひお問い合わせください。他の業者にはできない「空き家×外国人」のマッチングサービスで、成約の可能性も高めてまいります。