ご購入するマンションを検討されるとき、立地や広さ、価格など、さまざまな部分をチェックされることと思います。

これらの要素ももちろん大切なのですが、都内のマンションを探している方は「ちょっと違った視点」を持って物件探しをしてみることをおすすめします。

マンションの「重要事項に係わる調査報告書」は必ず入手すべき!

冒頭から少し難しい話で恐縮なのですが、マンションご購入前に必ず確認すべき書類の一つに「重要事項に係わる調査報告書」というものが挙げられます。

「重要事項に係る調査報告書」とは、一般的にマンションを売却する側の仲介会社が取得し、重要事項説明書を作成する際に取得する書類のこと。記載されている内容は、主にマンションの修繕に管理や修繕に係わる以下のような事項です。

  • 管理形態
  • 管理費・修繕積立金の滞納額
  • 管理費・修繕積立金額の将来的な改定予定
  • 管理組合の借入金
  • 修繕履歴
  • 修繕積立金額
  • 大規模修繕工事の予定

ここから、各項目の見るべきポイントを解説していきます。

管理形態

該当マンションの管理の形態が、管理組合の自主管理なのか、管理会社に管理を委託しているのか確認します。

自主管理の場合はとくに適切な管理や修繕計画がされていない可能性がありますので、以下の項目を厳しくチェックするようにしましょう。

管理費・修繕積立金の滞納額

(出典:国土交通省

マンションのすべての住人が、毎月、管理費を納めているとは限りません。国土交通省によれば、管理費等の滞納がないマンションは全国で62.7%。逆にいえば、40%近いマンションに滞納が見られるということですね。

滞納額が少額で、翌月等に滞納が解消されていれば大きな問題ではないでしょう。しかし滞納額が大きく継続しているとなると、管理体制に支障をきたしていることも考えられます。

特にリゾートマンションなどの購入を検討されている方には是非、予め調べていただきたいです。

管理費・修繕積立金額の将来的な改定予定

毎月、マンションの管理組合に徴収される管理費や修繕積立金は、将来的に増額する可能性がある費用です。

すでに改定予定があれば、いつ・いくら上がるのかが明記されています。

まだ正式なアナウンスがなくても改定が予定されていることがすでに決まっている場合もありますので、購入前に調べておく必要があります。

管理組合の借入金

すべてのマンションではありませんが、なかには管理組合に借金がある場合も。借り入れをした理由はケースバイケースですが、修繕積立金などの不足が考えられます。

管理組合は区分所有者全員が組合員となっていますので、管理組合の借り入れはマンション所有者の借り入れと同義ともいえるでしょう。

借り入れがあるマンションは、資産価値が下がる・毎月納める管理費や修繕積立金以外に一時金を徴収される・修繕計画が遂行されないなどのリスクがあります。

借入がある場合、何のために借りているのか、いつまでに完済予定かについても把握するようにしましょう。

修繕履歴

これまでの修繕履歴が明記されています。

定期的に必要な修繕がされているか確認しましょう。

修繕積立金額

大規模修繕に向けた積立額です。

積立金が不足していると、毎月納める管理費や修繕積立金以外に一時金を徴収される・修繕計画が遂行されないなどのリスクがあります。

大規模修繕工事の予定

(出典:国土交通省

マンションは、およそ10年~15年ごとに大規模修繕を行います。それに伴い修繕計画を立てるのが一般的ですが、国土交通省によれば10%近くのマンションで長期修繕の計画が立てられていません。

まずは、計画そのものがあるのか?そして、計画に伴う積立金は十分か?などの事項を確認しましょう。

番外編

マンションによっては、管理組合の理事長などの役割を輪番制としているケースがあります。

その場合、調査報告書でいつ役割が周ってくるのか確認できます。

都内マンションは大型車の駐車場が少ない

都内は土地が狭いため、マンション内の駐車場の敷地も十分確保できないケースが多々あります。

港区・中央区・渋谷区など都心の中でも地価が高いエリアは、とくにハイルーフの駐車場が少ないもの。大型車をお持ちの方は、最新の空き状況を確認しておいたほうが良いでしょう。

また都内のマンションは、住戸の数だけ駐車場の数を確保できていないということのほうが多いです。大型車に関わらずお車をお持ちの方は、ウェイティングリストがあるのか?駐車場の空き次第、抽選になるのか?ということも確認しておきたいポイントですね。

売主が駐車場を契約していたからといって、そのまま引き継げるわけではないことも注意が必要です。

マンションの「共用施設」本当に必要?

  • ジム・プール・スパ
  • ゲストルーム
  • キッズスペース
  • 多目的ホール
  • 立体駐車場

このようなマンションの共用施設は、見方によっては付加価値ともいえるでしょう。しかし、これらの施設を使わない方にとっては無用の長物にしかなりえません。

共用施設は、住人からの管理費や修繕積立金によって維持およびメンテナンスされます。使用する予定がなければ、その分、無駄に費用を支払うことにもなってしまうため、別物件を検討されても良いかもしれません。

高層マンションは「エレベーター問題」に注意

「高層マンションあるある」なのですが、朝の通勤・通学時間帯はエレベーターが大変混雑します。駅前のタワーマンションなのに「家を出てから駅まで15分かかった……」なんて話も聞くほどです。

私はとてもせっかちなのですが、同じくせっかちな方は階段も使える5階くらいまでの物件を検討されたほうが良いかもしれません(笑)。

また、総戸数と比較してエレベーターの基数が相応かも見ておきましょう。ただし、エレベーターは維持費が高額なため、多ければ多いほど良いというわけでもありません。

マンション購入前に隣人の属性を知っておくべき

都内に限ったわけではありませんが、マンションをご購入される前には、できる限り左右上下にお住まいの方の属性を知っておくことをおすすめいたします。

実は私自身、下に住む方からの苦情でマンションを住み替えたことも。

記事へ⇒ 子育て世帯のマンション購入体験記:不動産プロが語る住居選びの難しさ

小さなお子さんがいる方はとくに、売主や管理組合にどんな方が住んでいるかヒヤリングされるといいと思います。もちろん個人情報ですので、詳しくは教えていただけないと思いますが、トラブル履歴や家族構成だけでも聞いておかれると良いでしょう。

ただもちろん、売りに出したり賃貸に出したりすれば居住者は変わりますので、不確定要素であることには違いありません。

まとめ

予算内で立地も広さもご希望通りだとしても、そのマンションがご家族にとって最適な物件とは限りません。

今回ご紹介した「ちょっと視点を変えて見るべきポイント」の多くは、住み心地や将来的な資産価値に大きく影響するところです。

長く、快適にお住まいいただくためには、“見えるところ”だけでなく“見ようとしないと見えない情報”にまで目を向けられることを強くおすすめいたします。