不動産を賃貸していると、どうしても借主がきちんと家賃を払ってくれないケースがあります。

こんなとき、適切に対応しないと家賃が支払われないままズルズルと時間が経ってしまい、損失が大きくなってしまいます。

管理を全面委託している場合、管理会社や家賃保証会社が全て代行しておこなってくれますが、家賃滞納が起こったとき、どのような流れで進んでいくのかをきちんと理解していただくことは大切です。

今回は、家賃滞納者が現れたときの対処方法を、順を追ってご説明します。

《家賃滞納されたときの対処の流れ》

  1. すぐに連絡し、確認と請求をする
  2. 連帯保証人・保証会社に連絡して回収
  3. 現地を訪問して回収
  4. 内容証明郵便で請求
  5. 裁判で回収

それでは、順番にみていきましょう!

1.すぐに連絡し、確認と請求をする

家賃を滞納されたら、すぐに借主に連絡をしましょう。入金予定日の翌日には電話やメールで連絡を入れるべきです。日数が空くと、借主も安心してしまい、入金する気持ちを失う可能性があるので、早めの督促が肝心となります。

連絡が取れたら入金されていないことを伝えて「いつまでに支払えるのか」期限を切り、確答させましょう。入金を約束させることができてから電話を切ることが大切です。

また電話やメールと合わせて「郵便」でも請求書を発送するようお勧めします。

2.連帯保証人・保証会社に連絡して回収

不動産の賃貸借契約では、「連帯保証人」をつけることもあります。親族の連帯保証ではなく「家賃保証会社」を利用するケースも最近はかなり増えています。

連帯保証人や家賃保証会社は、借主本人が家賃を滞納したときに代わりに支払わればならない立場です。

滞納が発覚したら、すぐに連帯保証人や保証会社へ連絡して滞納分の支払いを要求しましょう。

家賃保証会社の場合、滞納後日数が空くと「免責」となって家賃の立て替え払いを受けられなくなるケースもあるので、早めに対応すべきです。

また、家賃代行型の保証会社の場合、オーナーには毎月一定額の賃料が振り込まれますので、保証会社が借主に直接「催促の連絡」を入れることになります。

3.現地を訪問して回収

借主に電話やメールをしてもなかなかつながらない、返信がない場合や話が前に進まない場合には、現地を訪問して直接集金する必要があります。在宅していそうな時間帯に訪問するのが大事です。

家主が直接訪ねてきたらプレッシャーを感じて支払いに応じる人が多数です。もしも不在なら「家賃を回収しに来ましたが不在でしたので書面を入れます。このまま支払いがないようであれば契約解除もやむを得ないので、早急にお支払い下さい」と書いた文書をポストに投函して帰りましょう。

また、ポストがチラシや郵便物であふれている場合、部屋の入り口の隙間に入れておきましょう。

管理会社がいる場合には、管理会社の担当者が対応してくれますが、任せっきりにせず、随時報告を受けることが大切だと思います。

4.内容証明郵便で請求

電話やメールで回収が困難な場合、「内容証明郵便」を使って滞納家賃の請求書を送ってみて下さい。

内容証明郵便とは、郵便局と差出人に相手に送ったのとまったく同じ控えが残り、後々まで書面の内容を証明できるタイプの郵便です。

請求書に使われることも多く、手渡し式で特殊な書式になっているので相手にとって、強いプレッシャーとなります。メールや電話を無視していても、内容証明郵便で請求されると支払う人も多くいます。

請求書には以下の内容を記載します。

  • 現在までの滞納金額
  • 支払いを要求すること
  • 入金期日
  • 入金先の口座
  • このまま支払いがなかったら契約解除して立ち退きを求めること
  • 裁判をして強制執行する可能性があること

5.契約を解除するかどうか検討する

いつまでも家賃を滞納されたまま物件に住み続けられると、家主側の損失が大きくなります。

滞納されている間の家賃は入ってきませんし、次の入居者を探すこともできないからです。滞納期間が長くなったら、契約を解除して立ち退いてもらった方が良いでしょう。

ただし賃貸借契約では、家賃を滞納されてもすぐには解除できません。勿論、勝手に鍵を交換も出来ません!契約がお互いの強い信頼関係によって成り立っていること、物件が借主にとって生活や事業の重要な拠点となるので借主が強く保護されることなどから、家主側からの解除は制限されています。

裁判例では、3か月分程度の家賃を滞納されるまで解除を認めないものが多数です。そこで、家賃滞納されたまま3か月程度が経過したら、契約の解除を検討しましょう。

もちろん3か月経過したからといって、解除しなければならないわけではありません。滞納家賃のみを回収する方法もあります。賃貸人の様子や対応状況、今までの経緯、物件の状況などを考慮し、契約を解除するかどうか検討してみて下さい。

5-1.解除した方が良いケース

借主がメールや電話、手紙などの連絡を完全に無視している、直接訪問しても居留守を使う

今までも何度も家賃を滞納して、常習化している

周辺住民とトラブルを起こして苦情が来ている

電話などで話はできるが、逆切れするなど非常識な対応をとる

人気物件で家賃も高いので、退去させればすぐに次の入居者が見つかる見込みが高い

このような状況であれば、契約を解除して次の入居者を探した方が良いでしょう。

5-2.解除せず家賃のみ回収しても良いケース

  • 借主は普段は真摯に対応するが、病気やけが、リストラなど事情があって支払えない様子
  • もめたのはこれが初めてで、いきなり解除せず少し様子を見たいと思う
  • 家賃はさほど高額ではなく不人気物件ですぐに次の入居者が見つかるかどうか分からない

上記を参考にしても解除するかどうか迷ったときには、不動産会社や弁護士に相談してみてください。

現在のように、コロナウイルスの影響で払いたくても払えない人も中にはいらっしゃるかもしれません。そんなときは管理会社も立ち会いの元、給付金・助成金の申請も積極的に検討しながら、大家として出来る限りの対応をお願いしたいと思います。

6.内容証明郵便で解除通知を送る

もし、借主との信頼関係が成り立たず、賃貸借契約を解除するときには、滞納家賃が3か月分以上になった後で、内容証明郵便を使って契約の解除通知を送りましょう。

ポイントは「家賃滞納分が3か月以上になっていること」です。賃貸借契約は、滞納家賃が3か月分以上にならないと解除できないので、その前に解除通知を送っても無効になる可能性が高くなります。

また解除通知を送った確実な証拠を残すため、必ず内容証明郵便を使いましょう。通常の郵便だと「そんな手紙は受け取っていない」と言われる可能性があります。

解除通知には、以下のような内容を書きましょう。

滞納家賃の総額

支払いを求めること

入金先の口座

入金期日

期日までに支払いがなければ契約を無催告で解除すること

この通知書を送ってから指定した期日までに支払いがなかったら、賃貸借契約は当然解除されます。

7.裁判で回収する

内容証明郵便でいくらプレッシャーをかけても支払いに応じない場合には「裁判」で滞納家賃を回収するしかありません。

このとき「契約を解除せずに家賃のみ請求する」のか「契約を解除して立ち退きまで求める」のかで、利用できる手続きが変わってきます。

契約を解除せずに家賃のみ請求するなら、「支払督促」や「少額訴訟」を使えます。

解除と立ち退きを求めるなら「通常訴訟」しか使えません。以下でそれぞれどのような手続きか、ご説明します。

7-1.支払督促を利用する

支払督促は、債務者(家賃を滞納した相手)に「支払督促申立書」を送り、その後2週間以内に相手が「異議申立」をしない場合には相手の財産を強制執行できる手続きです。

支払督促を利用すると、裁判所から相手に支払督促申立書が送られます。その後2週間以内に相手が裁判所に「異議申立書」を提出しなかったら、相手の給料や預貯金などを差し押さえて家賃を回収できます。

ただし相手に異議申立をされると「通常訴訟」に移行します。また支払督促で請求できるのはお金だけであり、立ち退き請求はできません。

7-2.少額訴訟を起こす

滞納家賃を回収する方法として少額訴訟もあります。これは、60万円以下の金銭請求をするときに使える簡単な裁判手続きです。弁護士を雇う必要がないので費用を節約できます。滞納額が60万円以下で家賃さえ回収できれば良いなら、利用するメリットがあるでしょう。

ただし少額訴訟も相手が異議を出せば通常訴訟に移行します。また少額訴訟で請求できるのはお金だけなので、立ち退き請求はできません。

7-3.通常訴訟を起こす

滞納家賃の支払いだけではなく、契約解除にもとづく立ち退き請求をしたいときには「通常訴訟」をしなければなりません。また支払督促や少額訴訟で異議を申し立てられたときにも勝手に通常訴訟が始まってしまうので、対応が必要です。

訴訟で主張を認めてもらうには、法律的に正しい主張を行って証拠も提出しなければなりません。ほとんどの審理が「書面」で行われるので、一般の方が一人で対応するのは困難です。必ず不動産に詳しい弁護士や専門家に依頼するようにしてください。

8.強制執行する

裁判が終わっても相手が自分から支払いに応じない場合、判決にもとづいて相手の給料や預貯金、保険などを差し押さえて家賃を回収します。

立ち退き命令の判決が出た場合には、強制的に立ち退かせることも可能です。

差押えや立ち退きの強制執行も一人で行うのは大変なので、弁護士や専門家に依頼するようお勧めします。

9.家賃を滞納されないためのポイント

賃貸経営を成功させるには、まずは「家賃を滞納されない」ことが大切です。滞納されるとさまざまな対応が必要になって手間と労力を取られますし、弁護士費用などもかかる可能性があります。払ってもらえない家賃分の損失も発生するのでデメリットは計り知れません。

家賃を滞納されないため、以下のようなことに気をつけてみてください。

9-1.不動産会社に任せきりにしない

家賃管理を不動産会社に任せきりにせず、毎月の支払期日が来たら入金状況を確認しましょう。不動産会社から毎月レポートを出させるなどして、確実に入金されているかチェックすべきです。放っておくと、気づかない間に滞納金額が膨らんでいる可能性があります。

9-2.家賃を支払ってくれそうな人を選ぶ

入居審査の際「家賃をきちんと払ってくれそうな人を選ぶ」のも大切です。募集の際に条件を絞るのです。たとえば公務員や上場企業のビジネスマンであれば、家賃を滞納するリスクは小さくなります。会社経営者や個人事業主であっても、これまでの実績が高く経営状況が安定していれば、比較的安心です。

一方定職に就いていない人、事業を始めたばかりの人、収入が安定していないフリーランス、アルバイトやパート、派遣労働者などの低収入の人などは滞納リスクが高くなる可能性があります。

申込書には勤務年数や勤務先、現在の家の居住年数等記載がありますので、よく確認して判断してください。

9-3.家賃保証会社を使う

家賃滞納リスクを防ぐ一番の方法は、家賃保証会社を通して契約することです。家賃保証会社がついていたら、滞納されたときにすぐに立て替え払いを請求できて、ほぼ確実に支払いを受けられるからです。また、賃料立替型の保証会社もあるので、毎月きまった日にちに賃料が一定額振り込まれます。

特に最近の民法改正によって親族の連帯保証人をつけるのが難しくなっているので、今後は家賃保証会社の必要性が更に高まるといわれています。

具体的には、2020年4月の改正民法施行後に親族の連帯保証人をつける場合「保障限度額」を定めなければなりません。「150万円まで」「200万円まで」など具体的な金額を明らかにしないと違法になってしまうのです。また個人事業者などが事業用物件を賃借する際には、連帯保証人に財務状況を説明しなければなりません。

このような制限がついてくるため、親族の連帯保証人はこれまでより利用しにくくなります。

また親族の連帯保証人は必ずしもすぐに支払いに応じてくれるとも限りません。それよりは、家賃保証を事業として行っており、確実に支払いを受けられる家賃保証会社の方が、利用するメリットは格段に大きくなります。

当社も家賃保証会社と提携しており、法人や学生、外国人など状況に応じたプランをご紹介できるので、関心のある方は是非とも一度、ご相談下さい。

家賃滞納されるとオーナーの損失が大きくなるので、そういったことにならないよう知識を持って対応していきましょう。もしも滞納された場合には、スピーディに対応することが重要です!

不動産賃貸業で困ったときには、御遠慮なく当社までご相談下さい。