今回は、住宅の「業者買い取り」について取り上げます。

・子供が成長したので、もっと広い家に住み替えたい・・・

・急に転勤が決まった・・・

・住宅を相続したけれど、管理が大変だ・・・

・急にまとまった資金が必要になった・・・

などなど、様々な理由から住宅の売却を考えている方がいらっしゃると思います。住宅を売却する場合には、不動産会社に買い手との「仲介」を依頼する方法が一般的です。

しかし従来の「仲介」では、住宅の買い手が決まるまでに時間がかかると同時に、内覧などの手間が発生するデメリットがあります。

そこで、住宅売却までの「時間と手間」を省く有効な方法が、不動産会社による「業者買い取り」です。

「業者買い取り」は「仲介」とどこが違うの?

では、「業者買い取り」は、従来の「仲介」とどこが違うのでしょうか。業者買い取りでは、住宅が最終ユーザーの手に渡るまでの流れに、大きな違いがあります。

従来の仲介では、不動産会社に住宅の買い手を探すために、広告宣伝活動などを依頼します。そして、買い手が見つかり売買契約が成立した後に、広告宣伝活動などにかかった費用を仲介手数料として不動産会社に支払います。

住宅の所有権:売り手→買い手(最終ユーザー)

一方の「業者買い取り」では、不動産会社が売り手からいったん住宅を買い取ります。そして、不動産会社の名義となった住宅を最終ユーザーに販売します。なお、最終ユーザーに販売する前に、リフォームによる「リノベーション」を行うこともあります。

住宅の所有権:売り手→不動産会社→買い手(最終ユーザー)

以上の「住宅が最終ユーザーに渡るまでの流れ」の違いから、「業者買い取り」には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。次に、業者買い取りのメリットとデメリットを見てみましょう。

業者買い取りのメリット

業者買い取りには、主に5つのメリットがあります。

1.周囲に売却活動を知られずに売ることができる

仲介の場合に必要なのが、住宅の買い手を探すための広告活動です。そして、購入希望者に「内覧」を行うので、周囲に売却活動を知れられる可能性があります。特に、販売促進のため土日に見学会などを行えば、確実にバレてしまうでしょう。そうなると、ご近所から余計な詮索をされるなど、心理的な負担が増えるデメリットがあります。

その点で業者買い取りは、広告を出す必要がありません。そして「内覧」も、不動産会社に、価格を査定してもらうための1回だけです。不動産会社への内覧であれば、目立たないようにすることで、ご近所に知られる心配はありません。

2.内覧を何度もする必要がない

仲介の場合には、買い取り相手がなかなか決まらない場合、何回も内覧が必要となります。そして内覧は、購入希望者にできる限り好印象を与えるために、掃除や片付けが必要です。実際に生活しながら、買い手が決まるまで何回も内覧に対応するのは、大きな負担です。

そこで業者買い取りにすることで、前述のとおり不動産会社による査定のための内覧を、1回行うだけで済みます。この内覧は仲介と違い、一般の方を室内に入れることはないので、気を遣う必要はありません。

3.最短で現金化することが可能

仲介では、買い手が決まるまで半年以上かかることもあり、売却金が入金されるまで時間がかかります。さらに入金時期は、買い手の金銭事情にも大きく影響されます。ですので、引っ越し先の住宅購入を予定している場合など、入金が遅れれば購入手続きに支障をきたしかねません。

その点で業者買い取りは、買い取り金額さえ決まればすぐに売買契約ができるので、最短で現金化が可能です。入金時期も融通がきくので、多くの場合は売り手の希望に合わせてもらえます。

4.契約や引き渡し日を合わしてもらえる

仲介の場合、契約や引き渡し日は買い手の事情に大きく影響されます。そのため、契約や引き渡しが、希望日より極端に早まったり遅れたりする場合もあります。そうなると、次の住居の購入や引っ越しに、悪影響を及ぼしかねません。

一方で、業者買い取りは不動産会社が間に入るので、柔軟に対応が可能です。契約や引き渡し日の融通がきくので、希望日に合わせてもらえます。

5.瑕疵担保責任の免除

仲介では、住宅引き渡し後の瑕疵担保期間に新たに欠損が確認された場合、売主負担で修繕工事が必要です。さらに欠損が大きい時は、契約解除となることもあります。

中古住宅の欠損としては、「雨漏り」や「排水管などの漏水」、「ひび割れ」などが、よくあります。もし売買契約後に、このような欠陥が見つかった場合、想定外の出費を強いられます。新しい住居への引っ越しなど、出費がかさむ時期であれば、経済的に大きなダメージです。

一方で、業者買い取りは、不動産会社の責任で住宅の欠損を調べた上で買い取るので、売り手に瑕疵担保責任が発生しません。売却後に建物設備の故障についても心配する必要がなく、予想外の出費が発生しないので安心です。

業者買い取りのデメリット

一方で、業者買い取りには、2つの大きなデメリットがあります。

1.金額が相場の7〜8割での取引となる

仲介では契約成立後に、取引額の一部を仲介手数料として、不動産会社に支払います。仲介手数料の割合は、以下のとおり上限が法律で定められています。

・取引額200万円以下の金額:取引額の5%以内

・取引額200万円を超え400万円以下の金額:取引額の4%以内

・取引額400万円を超える金額:取引額の3%以内

400万円以上の住宅売買では、手数料の上限は以下の式となり、ほぼ3%以内に収まります。

手数料=売買価格×(3%)+6万円+消費税

参照元:(公財)全日本不動産協会「仲介手数料について」

一方で、業者買い取りの場合は、買い取り金額が相場の7~8割での取引となります。これは、仲介の10倍を超える、20~30%の手数料が発生するのと同等です。

このように、業者買い取りの手数料が高額になる主な原因は、「住宅が売れないリスク」を、不動産会社が負うためです。一方の仲介の場合は、「住宅が売れないリスク」を売り主が負うので、手数料は3%以内と低くおさえられます。

2.場所によっては買い取ってもらえない

または大幅な値引き交渉がはいってしまう

業者買い取りは、「住宅の場所」に大きく影響されます。交通が不便な場所や、災害のリスクが高い場所などでは、買い取ってもらえない場合もあります。なぜなら、買い手がつかずに「住宅が売れないリスク」が、大きいからです。また、運良く買い取ってもらえたとしても、大幅な値引き交渉が入ることがあります。

まとめ

このように、住宅の「業者買い取り」には「仲介」にはない、多くのメリットがあります。しかし、その一方で発生するのが「買い取り価格が下がる」デメリットと、「場所によっては買い取ってもらえない」デメリットです。

そこで、

急ぎで現金化したい

という場合は、住宅ローンの返済が終わっていれば「業者買い取り」でも問題はありません。また、住宅ローンが残っていても、売却金額がローン残高を上回っていれば、特に心配する必要はないでしょう。

しかし、

1円でも高く売りたい

時間にまだ余裕がある

という方には、「業者買い取り」をオススメできません。

そんな場合は、不動産会社に「業者買い取りの金額」を査定してもらった上で、仲介を依頼するのも1つの戦略です。

「業者買い取りの金額」を知ることで、「最低でもいくらで売却できる」という目安を得ることができるので、じっくりと値段交渉ができます。

住宅を仲介で売却する場合も、「業者買い取りの金額」を知っておくことは、プラスになるのでオススメです。「業者買い取りの金額」をうまく活用して、賢い住宅販売戦略を立てましょう。