今回は、定期借家契約について取り上げます。

定期借家契約は、2000年に開始した比較的新しい制度なので、なじみの薄い方も多いと思います。定期借家契約は、2年・5年などの期限を切って契約ができるのが一番の特徴で、空き家対策をはじめ不動産の有効活用を目的に開始した制度です。

 

では定期借家契約は、従来の普通借家契約と比べて、どのような違いがあるのでしょうか?

 

普通借家契約と定期借家契約の違いとは?

1.普通借家契約

いわゆる従来の普通の賃貸契約です。契約年数は1年以上で行いますが、2年で設定するのが一般的です。契約期間終了時に更新する場合、更新料を設定する場合と設定しない場合があります。

 

この契約は、契約更新時に入居者の権利が守られているのが特徴です。入居者に更新の意思がある場合、オーナーは正当な理由がないかぎり、それを拒むことはできません。そのため、「期間限定の貸し出し」が難しいのがデメリットです。また、1年未満の短期間契約ができないデメリットもあります。

 

期間を区切った契約ができないため、将来売却する予定の物件や、短期間だけ貸し出したい物件などでは、空き家にせざるを得ませんでした。そのため、土地や建物を有効活用できないというデメリットがありました。こうした普通借家契約のデメリットを解消し、期間限定で賃貸にしたい物件向けに、2000年に作られたのが、「定期借家契約」の制度です。

 

2.定期借家契約

定期借家契約は、契約の更新を拒否するのに、貸し主側に理由を必要としない契約です。契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、確実に明け渡しを受けることができます。そして契約期間に制限はなく、自由に定めることができるので、1年未満の契約も可能です。尚、契約終了時にオーナーと入居者が合意すれば、再契約することは可能です。

 

ただし、契約終了時に確実に部屋を明け渡してもらうためには、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、契約が終了することを入居者に通知する必要があります。

 

定期借家契約にした方がいい場合とは?

定期借家契約の一番のメリットは、契約終了時に確実に部屋を明け渡してもらえる点です。一方、このメリットを入居者側から見た場合、自分の意思だけで契約更新できないのでデメリットとなります。

 

そのため、同じ条件の物件であれば、入居者に不利な定期借家契約の方が、家賃が低く設定される傾向があります。

 

そこで、将来売却など予定している物件を、定期借家契約にすることでメリットが得られるかどうかは、「単身者向け」か「ファミリー向け」かなどの、物件の条件によって変わります。

 

1.単身者向けの物件(1Rや1LDK)

 

単身者向けの1Rや1LDKなどの物件を、2年・5年などの一定期間後に売却をお考えの場合は、普通借家契約でも問題ありません。なぜなら、単身向けの物件は投資物件としての需要が高いからです。

 

単身者向けの物件を、投資物件として売却する場合は、空室よりも入居者が入っている方が、募集の手間が省けてすぐに家賃が入るので、好まれる傾向があります。

 

しかし、注意点として投資用としての売却価格は、実需(実際に住まわれる方)向けの売却価格よりも低くなる傾向があります。そこで、実需向けにして売却価格を高く設定したい場合は、賃料は下がっても売却時期を見越して定期借家契約にすることも一つの戦略です。

 

大切なことは、普通借家でも定期借家でも、売却時に手元にいくら欲しいかを計算すると同時に、利回りも意識しながら賃料設定をすることです。

 

2.ファミリー向け物件

一戸建てなどの、ファミリー向けの物件は、賃貸としての需要が少ないことから、単身向けに比べると利回りは下がります。そのため、投資用物件として購入する人は、少ない傾向があります。

 

そこで、2年・5年などの一定期間後に売却をお考えの場合は、定期借家契約にするのがオススメです。定期借家契約にして空室にすることで、マイホームを探している実需(実際に住まわれる用)にも売り出すことができます。

定期借家契約のポイントとは?

定期借家契約がベストと判断された場合、オーナーと入居者の双方が納得して契約するためには、2つのポイントがあります。

 

1.オーナーが高齢者の場合、定期借家の契約期間は長めがオススメ

オーナーが高齢者の場合は、相続の可能性があるため入居者のメリットを考えて、定期借家の契約期間は長めに設定するのが望ましいでしょう。なぜなら、オーナーが契約終了後に更新する意思を示していた場合でも、相続者がその意思を引き継ぐとは限らないからです。

 

そこで、「相続による入居者の意に反した退去」をなくすため、通常2年のところを5年契約にするなど、入居者の希望を反映して、長めに設定するのがオススメです。契約期間を長くすることで入居者は安心できると同時に、2年に1度の再契約料がなくなるので、金銭面での負担も軽減できます。また、小学生のお子さんがいる家庭は途中で退去を余儀無くされる心配がゼロになるので、長期の定期借家なら、普通借家で契約するのと大差がなくなります。

 

2.定期借家契約はメリットを正しく伝えることが重要

定期借家契約は、従来の普通借家契約に比べると一般的でないため、避けられる傾向があります。しかし、定期借家契約は入居者にとっても、普通借家契約よりも家賃が安く設定される場合もあり、契約期間を長くすることで更新料負担が軽減されるなど、メリットがあります。

 

そこで、入居者に安心して契約してもらうためには、こうしたメリットを正しく伝えることが重要です。メリットを正しく伝えることで、「よく分からないから、定期借家は避けよう・・・」ということがなくなります。

 

定期借家契約の知識豊富な仲介業者を選ぶ

定期借家契約メリットを入居者に正しく伝えて、適切な契約期間を設定するためにも、仲介業者選びは大切です。なぜなら、仲介業者の中には定期借家契約の知識に乏しい会社があるからです。もし、知識に乏しい仲介会社を選んだ場合、入居者が不安になって契約してもらえない恐れがあります。

 

そしてオーナーの方には、定期借家契約で必要不可欠な「契約終了前の通知」などの手続きが面倒臭いという方も、いらっしゃると思います。そんな場合も、定期借家契約の知識が豊富で、手続きを安心して任せられる仲介業者を選ぶ必要があります。

 

また、仮にオーナーが、定期借家契約の方がベストと考えた場合でも、将来を考えると普通借家契約の方が望ましいこともあります。

 

そこで、不動産経営で損をしないためにも、定期借家契約について知識が豊富であると同時に、物件を将来どうするのか、5年後、10年後と先のことも見据えて、最適な契約方法をアドバイスしてくれる仲介業者を、ビジネスパートナーとして選びましょう。


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