今回は、マンションの修繕費について取り上げます。マンションの修繕費は、建物の劣化を防ぎ、資産価値を守る上でとても重要です。通常は、修繕積立金として、毎月管理組合に積み立てて、定期的に必要な修繕工事に使います。

では、マンションの価値を守るためには、修繕積立金はいくら必要なのでしょうか?修繕積立金費用の必要額について、マンションの築年数や広さとの関係を見ながら、ご説明していきます。

築年数と修繕積立金の関係

最初に、国土交通省の統計から、マンションの築年数と修繕積立金の関係を見てみます。

 

マンション建築年別 1戸あたりの修繕積立金

(2018年 国土交通省調査 駐車場使用料等からの充当額を含む)

 

2010年以降  (築9年以下):       8820円

2000年~2009年(築10年~19年):1万2520円

1990年~1999年(築20年~29年):1万3112円

1980年~1989年(築30年~39年):1万1929円

1979年以前  (築40年以上) :1万3476円

※全体の平均          :1万2268円

 

参照元:「マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」

 

統計から、おおむね年数が経過するほど修繕積立金の費用は上がり、築40年以上のマンションの平均額は1万3476円と、築9年以下の1.5倍です。では、全てのマンションの修繕積立金が、年数の経過とともに値上がりするかというと、そうでもありません。

 

マンション修繕費の積立方式の違いによって、値上がりする場合と値上がりしない場合があります。

 

修繕費の積み立て方式とは?

 

修繕費の積立方式は、大別すると次の「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類です。

 

1.均等積み立て方式

 

均等積立方式では、マンション新築時から30年間に必要な修繕費の総額を、均等に積み立てます。この方式は、年数が経過しても原則として積立金額が変わらないのが特徴です。

 

次の段階増額積立方式と比較すると、新築時の修繕費負担が大きいデメリットがある一方で、将来の負担が軽くなるメリットがあります。1つのマンションに長く住み続ける方は、この方式がオススメです。

 

2.段階増額積立方式

段階増額積立方式では、マンションの建物劣化状況に応じて、5年、10年など一定期間ごとに修繕費の金額を見直して、値上げを行います。この方式は、新築当初の負担額が小さいメリットがあります。しかし一方で、最初の修繕積立金設定が低すぎると、将来修繕費用不足に陥る恐れがあるので、注意が必要です。

 

マンション修繕積立金の値上げには、理事会の普通決議で区分所有者の半数以上が出席し、さらにその出席者の半数以上の賛成が必要です。そのため、あまりにも費用の値上げ額が大きいと、普通決議での合意が得られずに、修繕費が不足する恐れがあります。

 

3分の1以上のマンションは、修繕費が足りない!

 

国土交通省の統計によると、全マンションの3分の1以上にあたるが34.8%の修繕費が、計画上の修繕積立額よりも不足状態です。さらに、不足の割合が2割を超えるマンションは、15.5%にのぼります。

 

参照元:「マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」

 

マンション修繕費の不足金額が大きくなると、懸念されるのが修繕不足による経年劣化の進行です。そうなると、建物の価値が著しく低下して、売ろうにも買い手がつかず、引っ越したくても引っ越せない状況になりかねません。

 

そこで、最悪の事態を避けるためにも、マンション選びの段階で、修繕積立金の金額から、将来修繕費不足にならないかどうかを、見極めることが大切です。

 

政府が示したマンション修繕積立金の「めやす」

妥当な修繕積立金の金額は、マンションの規模や専有面積によって変わってきます。そこで、2011年に国土交通省が示したガイドラインの中から、マンション修繕積立金の「めやす」を見てみます。

 

15階建て未満のマンションの場合の修繕費めやす

建築延床面積5,000㎡未満

:165円~250円/㎡・月(平均額:218円/㎡・月)

建築延床面積5,000~10,000㎡

:140円~265円/㎡・月(平均額:202円/㎡・月)

建築延床面積10,000㎡以上

:135円~220円/㎡・月(平均額:178円/㎡・月)

 

20階建て以上のマンション(タワーマンションなど)の場合の修繕費めやす

170円~245円/㎡・月(平均額:206円/㎡・月)

 

参照元:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

 

例えば、15階建て未満、建築延床面積が5,000~10,000㎡のマンションの、専有床面積80㎡の部屋を購入する場合、修繕積立金の範囲のめやすは、以下となります。

 

修繕積立金の上限:80㎡×265円/㎡・月=2万1200円/月

修繕積立金の下限:80㎡×140円/㎡・月=1万1200円/月

(平均値:80㎡×202円/㎡・月=1万6160円/月)

 

また、一般的な15階建て未満のマンションでは、建築延床面積が広いほど修繕費は割安です。そしてタワーマンションでは、一般的なマンションより修繕費は上がります。

 

まとめ

今回は、マンション修繕費について取り上げました。

 

マンションの劣化を防ぎ資産価値を保つためには、適切な修繕計画とそれを支える修繕積立金が必要です。修繕積立金の妥当な金額は、マンションの建築延床面積や専有面積によって変わってきます。

 

そこで、マンション選びをされる際は、前述の国土交通省が示した「修繕費のめやす」で、妥当な金額を計算して比較されることをオススメします。計算の結果、妥当な金額範囲から大きく外れて少ない場合は、将来修繕費が足りなくなる恐れがあるので、注意が必要です。

 

マンション選びをする上で、修繕積立金が妥当かどうかは、将来の建物資産価値をも左右する重要事項なので、ぜひ十分にご検討ください。


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