住宅を借りる時に支払わなければいけないお金と言えば、けっこうな額の初期費用ですよね。
他にも、引越し費用や新たな家具など、新生活には本当にお金がかかります。
近年、不動産会社によっては、仲介手数料や敷金礼金を払わなくてもよい「ゼロ物件」を取り扱っているところも増えてきました。
今までは当たり前のように支払っていた仲介手数料や敷金・礼金ですが、なぜ無料にできるのでしょうか?
今回は、このカラクリに迫ってみましょう!
仲介手数料無料
そもそも仲介手数料とは、住宅を売買もしくは賃借するときに、売主・貸主と買主・借主の間に立って契約の手続きをすすめる不動産会社に支払う手数料のことを言います。
賃貸の場合の仲介手数料は、上限が「家賃+消費税」と定められています。
つまり、家賃が20万円の場合、200,000×1.10で、最大220,000円が仲介手数料となります。
このように、なかなか高額な仲介手数料ですが、ゼロ物件ではなぜ無料になるのでしょう?
実は、この仲介手数料は、貸主・借主のどちらが支払っても構わず、双方が半分ずつ支払うこともできるのです。
例えば賃貸物件の場合、空室が目立つようになると貸主は毎月の家賃を補填するために、少しでも早く借主を見つけたいと考えます。
よって、貸主がすぐにでも部屋を貸したい場合は、貸主がADと言われている広告料(手数料)を負担したりする場合があります。
そのため、借主からは手数料を受け取らず、仲介手数料を無料にすることが可能になります。
売買の場合でも、リノベーション物件や業者が売主の場合、売主から仲介手数料として3%(税込)が支払われることが一般的です。
売主から仲介手数料をもらえるため、買主からはもらわないという業者もいるので、「仲介手数料最大無料」とうたっているのです。
弊社でも新築物件を無料でご紹介しているゼロ仲介というサービスをしています。
敷金礼金ゼロ
また、仲介手数料だけでなく、「賃貸の場合、敷金礼金ゼロ!」を謳う物件も増えてきていますね。
敷金とは、借りた部屋を退去するときに返却されるお金のこと。
しかし満額返ってくるわけではなく、クリーニングなど部屋を原状回復するための費用をいくらか引いた上で返還されます。
部屋を退去する時に新たにお金を払わなくてよいのは、すでに敷金で退去費用を支払っているからなのですね。
敷金は、大体が家賃の1ヶ月くらいが目安になっています。
部屋をきれいに使うことで、戻ってくる敷金の金額も多くなると言えます。
次に、礼金とはその名の通り貸主に部屋を貸してくれることに対するお礼のお金となります。
つまり、敷金とは異なり、一度払うと戻ってこないお金になります。
礼金の場合、空き部屋の多い貸主がなんとか入居者を増やそうという思いからゼロにすることが多くあります。
家賃以外の大きな収入となっていた礼金ですが、空き部屋を抱えるより、礼金ゼロの魅力的な物件として契約しやすくすることで、家賃収入が継続的に入ってきたほうがより安定すると考えるオーナーさんもいます。
特に外国人には「礼金」自体に馴染みがなく、理解されない場合が多いです。
敷金・礼金をゼロにすることで引っ越しの初期費用がグッと抑えられるため、借主にとってとても契約しやすい物件と言えますね。
そのため、敷金礼金ゼロの物件が存在するのです。
仲介手数料・敷金礼金ゼロの問題点
初期費用がぐんと安くなるカラクリは理解していただけましたね。
何かと物入りな引っ越しで初期費用が安くなるのはとてもありがたい話。
でも金額だけで安易に契約を交わしてしまうのだけは避けていただきたいと思います。
仲介手数料ゼロや、相場よりも安く設定している場合、一部の業者でサービスの質が悪くなってしまうトラブルが増えています。
仲介人である不動産業者の仕事は物件の案内だけではありません。
物件の値下げ交渉や契約書作成や手続き、重要事項説明書の作成や調査、度々の内見など多岐にわたります。
敷金礼金ゼロの場合、特に注意したいのが「退去時」のトラブル。
退去時はクロスの汚れ(自然変色でないもの)や穴・水回りの汚れなどのクリーニング費用を支払う必要があります。
本来なら事前に支払った敷金から支払われますが、事前に支払っていない場合は退去時に払うことになります。
また、2年後の更新料や、更新事務手数料の有無、短期違約金の有無なども契約前に確かめておくのが大切です。
事前に把握しておかないと、入居時はお金がかからなくても、住んでいるうちに次々と家賃以外のお金を支払わなければいけない状況に置かれる場合もあります。
同じ物件であれば、当然、仲介手数料や敷金礼金などの初期費用がかからないに越したことはありません。
しかし安いからと行ってすぐに契約するのではなく、全体をズームアウトして見る力を養っていただけたらと思います。
しっかり契約内容を確かめ、入居時だけでなく退去後のことまで考えた上で、自分に合った物件が見つけられると良いですね!