2018年4月、宅地建物取引業法が改正され、中古住宅のホームインスペクションの説明が義務化されました。

ホームインスペクションとは、不動産取引の際に行われるプロによる建物状況調査のことです。

既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、既存住宅状況調査方法基準に従って行うもので、「ハウスインスペクション」とも呼ばれています。

主に基礎、土台及び床組、床、柱及び梁、外壁及び軒裏、バルコニー、内壁、天井、小屋組などの構造耐久上主要な部位や、外壁、内壁、天井、屋根など雨水の侵入を防止する部分が調査対象となっています。

ちなみに、中古不動産市場が盛んな欧米では、不動産取引の際にホームインスペクションを行うことは、もはや当たり前です。

しかし日本では、まだまだ多くの中古住宅がホームインスペクションを受けることなく取引されています。

 

この「ホームインスペクションの説明が義務化された」というのは、一体どういうことなのでしょうか。

今回は、改正された宅地建物取引業法の内容を、わかりやすく具体的に解説いたしましょう。

 

①媒介契約書面にホームインスペクションを実施する者のあっせんに関する事項を記載(第34条の2第1項)

媒介契約締結時に、宅建業者は売主や買主に対して、ホームインスペクションについて説明することが必要となりました。これにより売主や買主はホームインスペクションについて知ることができ、活用が期待できるようになります。

 

さらに売主や買主がホームインスペクションのあっせんを希望した場合、宅建業者は業者を紹介しなければいけませんし、実施に向けて段取りをする必要もあります。

 

この媒介契約書への記載については、売買または交換の媒介契約が対象となるため、賃借の場合は対象外です。

 

②ホームインスペクションの結果と概要、建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況などを、重要事項として説明(第35条1項)

 

さらに宅建業者は、重要事項説明の際の書面に、ホームインスペクションが実施済みか否かを記載し、実施している場合には別紙にてホームインスペクションの結果を明示する必要があります。これは売買または交換の場合だけでなく、賃借でも対象になります。

 

また宅建業者は、売主が建物の建築や維持保全の状況に関する書類を保存しているかどうか確認した上で、その保存状況を記載した書面を買主へ交付し、説明を行う必要もあります。

この時必要となる書類には以下のものがあります。

・建築基準法令に適合していることを証明する書類…検査済証

・新耐震基準への適合性を証明する書類…耐震基準適合証明書、固定資産税減額証明書、耐震診断の結果報告書、住宅耐震改修証明書

・新築時及び増改築時に作成された設計図書類…建築確認済証及び確認申請時の図面類

・新築時以降に行われた調査点検に関する実施報告書類…建物状況調査結果報告書、既存住宅性能評価書、定期調査報告書

 

③37条書面(売買等の契約当事者に交付する書面)に、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載

 

通常、重要事項説明のあとに売買契約を締結しますが、その際シロアリの被害や雨漏りなど建物の構造耐力上主要な部分があった場合、それについて売主と買主が双方納得の上売買契約が成立したことを書面に記載する必要があります。

 

これは円滑な取引を促進するとともに、取引後に起こりうる細かなトラブル等を減らすことを目的としています。

 

以上3点が、今回の法改正の重要なポイントです。

 

今回、国がホームインスペクションの説明を義務化した最大の目的は、中古住宅流通の促進です。日本の中古住宅の流通シェアは、欧米諸国に比べ極めて1/6程度と非常に低いのが現状。さらに売買件数もここ数年は年間17万戸前後と横ばい状態が続きます。

 

なぜ中古住宅の流通量が増えないのかいうと、最大の原因は中古住宅の住宅品質が明らかでないからと言えるでしょう。

維持管理や経年劣化の状況など品質に差があり、新築と比べ住宅の情報が少ないため、安心して購入することができないからなのです。

そこで今回の宅建業法律改正でホームインスペクションの活用を促すことで、消費者が安心して中古住宅の取引ができるよう、市場環境の整備を図ったわけですね。

 

今回の法改正で「ホームインスペクションの説明」は義務化されましたが、ホームインスペクション実施自体は義務化されてはいません。

とは言え、中古住宅市場におけるホームインスペクションというものが広く知られることによって、より安心した取引が行える環境になりました。

ホームインスペクションには当然コストが掛かるので、実施をデメリットと考える売主もいるかもしれません。

しかしホームインスペクションの結果わかった瑕疵を事前に修繕し売却すれば、建物は適性に評価され、相場に合った価格で売却できる可能性が高まります。買主に安心して購入してもらうための大きなアピールにもなるでしょう。

今後は、中立な立場であるホームインスペクションを活用する流れがより広まり、中古住宅の流通や住宅品質が向上し、誰もが安心して快適な家に住めるようになることを期待しています。

 

 


ご依頼やご質問は、以下のフォームからお問い合わせくださいませ。