今回は、不動産取引で欠かせない「金銭消費賃貸契約(金消契約)」についてお話します。

「金消契約(きんしょうけいやく)」とは、簡単にいうと, 銀行との間で住宅ローンのお金を借りるために契約をむすぶことです。

金消契約は人生においてそう何度も体験することではないので、「何に注意すべきか分からない」「どんなものなのかわからないから不安」という方も多いと思います。

このブログでは、金消契約の前に確認すべき5つのポイントを分かりやすく解説して、安心して金消契約を迎えられるようにという思いで執筆しました。

金消契約の5つのポイント

  • 契約日を決める
  • 必要な持ちもの
  • 確認する内容
  • 必要となる諸経費
  • 契約日当日について

5つのポイントを確認していただくことで、金消契約がスムーズに行えるようになります。
引渡し日が遅延してしまうなどのリスクも回避できるので、ぜひチェックしてみてください!

1.契約日を決める

住宅ローンの本審査を通過した後は、金消契約を結ぶ契約日を決めます。
契約日をきちんと設定しないと、希望の引き渡し日に融資が実行されず、引き渡しが延長になり、トラブルにつながる恐れがあるので注意しましょう。

契約日を設定するときは、必ず融資を受けたい日(物件の引き渡し日)から逆算して、ローン契約の日程を設定してください。
各銀行で、融資が実行される日が、「金消契約日の○○日以降」と決まっているケースが多いので、なるべく早め早めに準備することをおすすめします。

最近では週末も営業している金融機関や直接自宅に出向いてくれる金融機関もありますし、そもそも全てがWeb上で完結できるという金融機関も増えています。

ネット銀行の場合・・・
郵送やWeb上で金消契約を行うことができます。
ただ、システム上の期日があるので、余裕をもって手続きするようにしてください。

2.必要な持ちもの

ローン

金消契約時には、多くの書類が必要となります。

ここでは一般的に必要とされているものを説明していますが、実際に必要となる書類は、不動産仲介業者や金融機関に確認してくださいね。

  • 本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)
  • 売買契約書や手付金の領収証の原本
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 住民票(マイナンバーの記載なし、同居する全員の続柄が記載されているもの)

市区町村役場に行って申請するものもあるため、時間に余裕をもって用意しましょう。

産休・育休中の方

勤務先が発行した産休・育休期間がわかる書類が必要になりますので、勤務先に依頼する必要があります。

入籍を予定している方

入籍の証明として、受理証や旧姓が記載された住民票が必要になる場合があります。
銀行の住所変更や氏名変更もあるので、印鑑証明書や住民票は余分に準備しておくことをおすすめします。

必要になる可能性がある持ちもの

上記以外にも必要となる可能性があるものは、以下のようなものがあります。

  • 住宅ローン返済用口座
  • 返済用口座の届出銀行印
  • 代理受理の委託状:融資が不動産会社業者などに直接入金される場合
  • 火災保険の関係書類:保険証券、保険契約証など

*住宅ローンを申し込む金融機関以外で火災保険を申し込んだ場合、火災保険の契約内容が分かる書類が必要になるケースもあります。

Web上で行う場合、これらの資料をアップロードすることになりますので、不動産会社から事前にPDFにして受け取っておくと便利です。

3.確認する内容

計算

金消契約時は「金銭消費貸借契約書」に記載されている以下の内容について確認します。
契約内容は複雑ですので、事前に確認し、諸条件に関してはあらかじめ理解しておきましょう。

  • 借りる金額
  • 貸付日
  • 貸付けの実行方法
  • 貸付実行の前提条件
  • 元本返済の時期・方法
  • 利息(適応金利)
  • 遅延損害金
  • 期限の利益喪失事由について
  • 保証人、担保設定に関する定めなど

適応金利については金融機関が毎月見直しており、融資が実行されるタイミングで確定します。
月末に金消契約をおこない、月をまたいで融資が実行される場合は、適用金利が融資実行のタイミングで変わる可能性もあるので注意しましょう。

内容を確認して問題なければ、金銭消費貸借契約書に記名し、実印を押印します。

4.住宅ローンの諸経費

お金

住宅ローンを利用する場合、元金や金利以外にも事務手数料や保証料などといった諸費用が発生することを忘れてはいけません。
ローンの申込み時に、諸費用がいくら必要になるのかあらかじめ認識しておきましょう。

保証料や事務手数料は融資実行時には支払わず、金利に上乗せする選択肢もあるので、下記の表の「費用」は幅をもたせています。

諸経費名 内容 費用
契約事務手数料 金融機関に支払うお金 3万円~6万円
保証料
事務手数料
保証会社/金融機関に支払うお金

※保証会社とは住宅ローンが返済できない場合に融資額を肩代わりしてくれる会社

(融資額の2.2%が目安)

金融機関によっては事務手数料という名目で費用がかかる場合もある

団体信用生命保険料 借主が病気やケガで死亡や所定の高度障害、特定の重い病気になった場合に、ローンの残りを肩代わりしてくれる保険の保険料 借主の年齢や性別などに応じて変わる

(金利に含まれている場合がほとんど)

火災保険料 取得した住宅が火災や落雷、水災に遭った場合を補償する保険の保険料 35万円前後(新築戸建  5年)
物件の種類や広さなどによって金額が変わる
印紙税 契約書に添付する印紙

※電子契約の場合は不要

1千万円を超え5千万円以下   2万円

5千万円を超え1億円以下  6万円

抵当権設定費 抵当権設定の登記に必要な費用

※抵当権付きの物件は、担保される借金が返済できなくなった場合、金融機関により売却され、売却代金を返済に強制的に充当されることになります

借入額の0.4%
軽減税率適用時は0.1%(2024年3月時点)

団体信用生命保険は、加入時に借主の健康状態を告知する必要があり、場合によっては加入できないこともあります。

健康状態に不安がある方へ・・・

事前に、健康診断結果を銀行または不動産業者の担当者に見せておくことをオススメします。
持病がある方でも加入できるワイド団信付き住宅ローンもあります。

火災保険には、地震に対する補償が付帯されていませんので、地震保険を火災保険にプラスする必要があります。
なお、地震保険の単体での契約はできないため注意しましょう。

抵当権の設定は、住宅ローンを利用する場合、必ず設定しなければなりません。

5.当日について

金消契約の所要時間は、1時間〜1時間半程度です。

事前に入手する書類も多く、確認する内容も複雑に感じるかもしれませんが、買主が書類に記入する箇所は少ないので基本的に記名と押印ばかりです。

しかし、きちんと説明を受けずに記名や押印をするのは危険です。
契約日当日には、金融機関から「コストが上がる提案」をされることがありますが、ここはじっくり考えて返答すべきです。

「コストの上がる提案」とは、例えば火災保険の補償範囲を広くする提案。
補償の範囲が広いと安心ですが、保険料も高額になります。
水害リスクや地震の被害のリスクも充分考慮して、無駄のない保険を選択しましょう。

何が起こるか分からない不安や、なんとなく不安だからという気持ちでプラスαの補償(保障)をつけるのではなく、備えたいリスクを明確にした上で選ぶことが大事です。

金融機関によっては、団体割引として10%超の割引で火災保険を斡旋しているところもありますので、住宅ローンの検討段階で割引率や紹介できる保険会社はどこかを聞いておきましょう。

また、ゴールドカードやプラチナカードの加入を勧められることもありますが、こちらも必要ない場合は、うまーくお断りしていただければと思います笑。

ただし、金利優遇が受けられて、初年度は加入無料の場合もあるので、よく説明を聞いた上で判断してください。

まとめ

住宅ローンを借りるときの5つの重要ポイントをご説明しました。

不要なコストをかけてしまったり、引渡の日が先延ばしになってしまったりしないように、今回お伝えした5つのポイントをチェックして金消契約に臨んでくださいね。

当社では、お客様のご希望に応じた住宅ローン選びやご提案を得意としています。
ぜひ、「私に合っている住宅ローンを提案してほしい」とお声がけいただけると嬉しいです。